テンキーボードをPC版スト5のコントローラーにする方法

 去年の2月にスト5をいきなり始めた経緯については最初のエントリにも記していたが、「たまたま余っていたSteamのポイントで買った」という通り、突発的な衝動だったので初期費用はなるべく抑えておきたいという意識があった。
 それはコントローラーに関しても同様で、続けるかどうかも分からない格ゲーのために、高額なアケコンを買おうという発想にはならなかったし、それが長年、「現役復帰したいと思いつつ復帰できない」理由にもなっていた。

 今の格ゲーマーのあいだでは、「アケコン派かパッド派か」というのは定番の話題だが、アーケードの筐体やNEOGEO CDのスティックコントローラーに慣れ親しんでいた自分にとって、レバーが十字キーになるのはともかくボタンはピアノの鍵盤のように指を乗せられる配置(親指だけを使うボタンやLRボタンでないもの)でないと論外だった。

テンキー&パッド二刀流という解決策

 そこで考えてみたのが、「右手にテンキーボード、左手にゲームパッドとコントローラーを分け、テンキーの各キーにキーボード設定で各種操作の設定をする、というものだった。

 格ゲーを始めると、まず「アケコンですかパッドですか?」という質問を受けるのだが、そこで「テンキーボードとパッドです」と答えると、大抵混乱される。
 海外の一部には、FPSゲーマーのようにキーボード派の格ゲーマーというのがいたにはいたそうだが、自分はさすがにキーボードだけという器用なことはしていない。
 そのため、質問されるたびに自分のプレイ環境を細かく説明しなければならなかったし、あまりにも他に類がなさすぎて面白がってくれる人も多かったため、せっかくだし解説記事を書こうと考えてみた。

 そして意外と思われるかもしれないが、現在の格ゲーシーンにおいては、初心者にこそおすすめしやすいスタイルだと考えるようにもなっている。その理由は初期投資の少なさと、直感的な遊びやすさにある。

テンキーボード選び

 都合のいいことに、カプコン格ゲーの6ボタン式は3×3で並んでいるテンキーの配置と相性がいい。

 そして元々自分が使っていた、BUFFALOの有線テンキーボードのキーがフラットタイプで、イメージしていたボタンの感触に近かった(ちなみに普段からテンキーボードを常備しているのは、フルサイズではないテンキーレスのキーボードを好んで使い続けているから)。
 キーボード設定は以下の通りで、テンキーの上段3列(789)を弱中強P、中段3列(456)を弱中強Kにした上で、小指と親指の位置(「+」と「0」)を同時押しボタンとした。

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「OPTIONS」→「その他設定」→「キーボード設定」で開く

 一応、余ったキーに十字方向やアナログスティックの押し込みも対応させているので、メニュー画面の操作くらいならテンキー片手で済ますこともできる。

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テンキーのセットポジション(弱中強Pと同時押しに五指を掛けている)

 ちなみに「大会ルールには違反していないのか?」という懸念はあったが、2019年のルール変更に基づくなら「重複する行動のボタンを作ってはならない」だけが問題となってきて、具体的には「テンキーによる移動行動」と「パッドの十字キー以外のボタン」を封じる措置をしなければ大会では反則となるはずだ。

 とは言え、オンライン対戦でもそんな使い方はしないし、極論すれば、普通にアケコンやパッドで遊んでいる人でもパソコンにキーボードを接続しているだけでそのキーが「重複する行動のボタン」として立ち上がってきてしまう。それでも実際はそんな面倒な操作はしないわけで(余談:フットペダル問題)、指が触れなければ許される範囲ではなかろうかと自分を納得させている。

 また、原因が不明なのだがWindows側の仕様なのか、自分の環境の場合、キーボードからの入力は(テンキーボードでもメインキーボードでも)なぜか同時押しを3個までしか受け付けていないようだ。*1
 これだけは申し訳ないながら、「ホールド技を溜めながら3ボタンを同時押しする」というキャラ次第では必須となる操作ができないし、6ボタン同時の挑発コマンドや4ボタン同時の脱衣コマンドは同時押しボタンを駆使するか、ゲームパッドで操作するしかないかもしれない。

ゲームパッド選び

 さて、右手の操作はテンキーに任せるとして、次は左手でゲームパッドを持たなければならない。
 これが思ったよりも難問で、そもそも両手で固定するために設計されたゲームパッドは、片手だけで激しい操作をするとデバイス自体がブレて不安定になるのだ。

 最初の数ヶ月間は、元々所有していた一般的なパッドを使っていたのだが、「ゲームパッドの右側を自分の体(首や顎など)に強く押し付ける」という、まるでバイオリン弾きのような苦しいポーズで固定する必要があった。

 買い替えを考えた時、これまた意外と向いていたのが子どもや女性向けのミニゲームパッドだった。全体的に軽く、デバイスの重心が十字キー側に少し偏っているのか、親指で激しい操作をしてもブレが小さく、残りの4本の指の力と、自分のお腹などに軽く当てるだけで反動を抑え込むことができる。

 ついでに言うと、小型の十字キーは標準サイズの十字キーよりも有利じゃないか? とも感じている。十字キーの幅が短いということは、回転を入れる操作のストロークも短くしやすいということで、理論的にコマンド入力のスピードが速くなりやすいと思うのだ。

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左手の指でパッドを固定するポジション

バイスのまとめ

 以上、テンキーボードが1000円くらい、ミニゲームパッドが2000円くらいと、3000円程度の出費で「アケコンのボタン配置と十字キー」を両立させることができる。保証切れの後に故障させた場合のコストも小さく、片方ずつ交換すればいいので全額を払い直すこともない。

 現在の格ゲーシーンでは、「パッドの十字キー」に対して「アケコンのレバー」の優位性は特にないとも言われており、今から始める人にはなおさらレバー操作に慣れる必要がない。

 パッド以上の操作性を求めるなら、逆方向の同時入力も可能となるレバーレスタイプ(hitbox型)に手を出すべきだが、「左手だけレバーレス」というスタイルも可能そうではあるものの、簡単にできる手段(デバイス)も思い付いていないので、今はパッドの十字キーに慣れればいいかなと考えている。

 それと、このスタイルのメリットとして、(他のPCゲームにも使える)ゲームパッドだけでなく、テンキーボードも「あれば便利」で無駄になりにくいという点が挙げられるだろう。つまりコスパ最強なのである。
 6ボタンのレイアウトも、アケコンに慣れた人に聞くと「ボタンが小さくて間隔が狭い」ことに違和感があるそうだったが、人間の指の間隔としては自然だし、そもそもテンキーで事務的に数字入力をしていた人にしてみれば日常のテクニックの延長になるはずだ。

NumLockのラグには要注意

 「ゲーム用のコントローラーと、文字入力用のキーボードではラグの差があるのでは?」という不安もあって、一応「パッドの攻撃ボタン」と「テンキーの攻撃ボタン」で操作感を比べてみたのだが、おそらく反応速度に差はないと思う。

 ただ、PC環境による個人差かもしれないが、自分の場合は(ハード的ではなく)ソフト的に解決すべき問題があった。
 これはプレイ上、致命的な欠陥に繋がる可能性を孕むのでしっかり説明しておきたい。

 それは、テンキー入力というものがWindowsの仕様上、「NumLockをONにした状態で認識するもの」となっており、NumLock OFFの状態(通常のキーボード入力が制限されるので普通はOFFになっている)でテンキーを押すと「一旦Windows上でNumLockをONにしてからテンキー入力を受け付ける」というプロセスで数フレーム(!)のラグが生じるようなのだ。*2

 普段は意識もしていないNumLockが悪さをしているとは思っていなくて、謎の入力ラグにしばらく悩まされていたのだが、「スト5のプレイ中はNumLockをONにする」という環境を整えることで無事に解決した。

 NumLockをONにする方法は、手動にする手もあるが、NumLockLockというユーティリティでWindowsを監視し、「StreetFighterV」がアクティブウィンドウになったら常にNumLockをONにする、という方法が一番簡単だと思われる(ON/OFF切り替え時に好きな音声が鳴るように設定することもできて便利)。

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NumLockLockの設定画面

 ただ、これにも欠点があって、NumLockのON中は、逆に通常のキーボード入力が制限されてしまうため、「Fighter's IDの文字入力時などはNumLockLockの監視を外してOFFにしてからまたNumLockLockで監視する」といった手間は必要になってくる。
 監視モードに戻すのをうっかり忘れると、また問題のラグが発生してしまうから気を付けてほしい。

*1:コメント欄で情報提供があります。

*2:コメント欄で情報提供があります。