【謎の男】スト6ベガの正体考察

 6月26日にDLCとしての配信が予定されている、スト6のYear2キャラクター第一弾「ベガ」だが、前作で一度滅んでからの復活(?)ということで、現状では「ベガを名乗る謎めいたキャラクター」となっている。

 様々な説が考察されているが、設定的な情報も小出しにされていて全体像を掴みづらいので、まずは作中の時系列を確認してみたい。

  1. ストV(前作)のゼネラルストーリー:ナッシュ、リュウらとの闘いでベガの肉体が崩壊し、帽子のみ残してシャドルー基地から消失
  2. シャドルー格闘家研究所のキャラ図鑑:「ファントム ベガ」として肉体崩壊後の思念体が報告される(2016年11月投稿)
  3. シーズン2、シーズン3の追加キャラクター「エド」「ファルケ」のキャラクターストーリー:思念体?のベガが登場
  4. Steamのストアニュースメトロシティの路地裏で謎の男が目を覚ます(2024年6月8日投稿)
  5. スト6のワールドツアー:ネオ・シャドルーエドのネオ・シャドルーとは異なる残党集団)がベガおよびベガの素体と残留思念の捜索記録を残す(2024年5月に追加されたサブミッション「潜入!シャドルー基地」で入手できる機密文書で判明)
    • 機密文書のテキスト:ベガに似た男が瀕死の馬を蘇らせているという、メキシコの目撃情報あり。同日、シャドルー基地のサイコパワーが蠢く
    • 機密文書のテキスト:ベガに似た男を発見したというナイシャールからの報告と同日、シャドルー基地のサイコパワー内にベガの残留思念も発見される
    • 機密文書のテキスト:シャドルー基地で残留思念の解析と復元が行われる
  6. スト6:2024年2月配信の追加ステージ「Ruined Lab」の背景にベガの帽子が確認できる(前出のサブミッションに登場する「シャドルー基地」と同一のステージ)
  7. 公式サイトのキャラクター紹介、Steamのストアニュース:謎の男=「6のベガ」が、「シャドルー関連施設」もしくは「ベガの思念が宿る研究所」に現れる。また、公式サイトのデータでは身長が従来のベガと同一で、CVが変更されたことも確認できる
  8. ベガのゲームプレイトレーラーの予告映像ベガの帽子が置かれたRuined Labに「6のベガ」が暴れ込み、研究所の設備からベガの残留思念を吸収する(2024年6月8日投稿)
  9. スト6のワールドツアー:2024年5月に追加されたサブミッション「潜入!シャドルー基地」で、主人公がベガの帽子のないRuined Labに潜入し、先述の機密文書を入手
  10. ベガのゲームプレイトレーラー:馬に乗った「6のベガ」が主人公と出会い、ベガを名乗る。一人称が「俺」、右手に宿るサイコパワーに「飼いならしてやる」と話し掛ける、オーラの色が薄緑から紫に変色するなどの個性を示す


www.youtube.com

 以上を追ってみると違和感を覚えるのは、Steamのニュースに書かれた「路地裏で目を覚ました」(英文版では「awakens」)という表現だろうか。

ベガの代替ボディなのか問題

 何が違和感かと言うと、もしベガの思念体が素体に乗り移ったとすれば、シャドルーの研究施設で覚醒するのが自然だと思われるからだ。
 仮に「意識や記憶が曖昧なまま施設を脱走して、都会を彷徨っていた」などのストーリーがあったとしても、「目を覚ます」とは表現せずに「意識を取り戻した」といった言葉を選ぶんじゃないだろうか?

 機密文書によると、シャドルーの残党たちは「素体を介してベガ様が復活する」という仮説を建てて(期待して)ベガの素体を捜索していたと思われる。しかし、そのテキストはプレイヤーに対するミスリードの可能性もある。実際は、何らかの力で「崩壊した肉体を思念体から再構築した」姿が「謎の男」の正体かもしれない。

 ベガはこれまでの作品で「代替ボディ」を探したりクローンを量産したりしている設定が鉄板ネタとされてきたので、今回も「復活するとしたら代替ボディや別人への乗り移りだろう」と推測してしまうのだが、そう決め付けてしまうと路地裏の話がしっくり来なくなる。

 研究所で保存されているような実験体ではなく、たまたまメトロシティに適合性のある人物が滞在していて、路上でその体を乗っ取った可能性もあるが、そうすると身長データや顔立ちを元のベガと一致させたデザインが不自然にも感じられる。
 「ベガに似たクローンが脱走していたから」という説もありうるかもしれないが、キャミィエドアベルやセスのように自我を持った代替ボディ候補たちの場合、体格や風貌をベガと一致させているケースが逆になかったりもするからだ。

ストリートファイターV』ゼネラルストーリーより

 また、「肉体の再構築」説を考える根拠として、かつてのベガの肉体の崩壊が「右手→右頬→右半身」の順に広がっていたから、という描写によるものがある。
 そのためダメージの深い右腕や右半身が不安定であり、ヒビの入った肉体が復元されていると考えることもできそうだ。

 これが代替ボディだとすれば、「たまたま右半身が損傷していたからサイコパワーが漏れ出している」がヒビの理由になるだろう。ただ、単に素体の保存が悪くて損傷していたよりも、「思念からの復元が不完全だった右腕部分に、研究所で吸収した残留思念がより強く宿ったため制御しきれない」とイメージしたほうが、演出的にもしっくり来るのではないだろうか。

https://x.com/StreetFighterJA/status/1799344287496433756

 ところで、赤いズボンとベルトのバックルを見ると、肉体崩壊時にベガが着ていた服装と共通点がある。ただし、履いているブーツや腕の装備などは異なるという、出自のよく分からない格好だ。
 思念体から肉体を再構築するくらいなのだから、装備ごと具現化してしまってもいいのかもしれない。また、そうした超常性を強調しているのが「瀕死の馬を蘇らせた」という、今まで聞いたこともなかったような能力の設定だったりするかもしれない。

同一人物なのか、別人格なのか

 以上はまだよく分からない問題だとしても、一人称の「俺」や、その名やサイコパワーを「ベガから奪い取ったもの」のように語っている点などから、「そもそもベガ本人なのか、別人なのか」がこの「謎の男」に対して湧く疑問となっている。

 彼の肉体が代替ボディ(クローン)や別人のものだった場合、「ベガとは他人」ということだから言動の理解はしやすい。
 ただし、公式サイトでは「ベガらしき男」とボカされているものの、Steamのニュースではかなり「記憶喪失をしたベガ」と伝わる書き方になっており、「主人格は別人で、ベガの残留思念を取り込んだだけの男」という解釈はしにくいと感じさせる。

ベガは世界征服を追い求める、シリーズを象徴するボスキャラである。世界征服の夢は『ストリートファイターV』でリュウに敗れたことで終わりを告げたはずだった。そんな中、メトロシティの路地裏で、謎の男が力への渇望を抑えきれずに目を覚ました。思い出すべき記憶もないまま“ベガ”の思念が宿る研究所に行きつく
store.steampowered.com

 「力への渇望を抑えきれずに目を覚ました」というこの文章も重要で、そこでは「終わりを告げたはずの世界征服の夢」「抑えきれない力への渇望」が対の表現となっている。

 ここでヒントになると思うのが、中山ディレクターによる以下の「ベガ様」観だ。

ボディが滅びても何かしらの形で復活し格闘王として戦い続けたいとか…その辺はいつか語れると良いですね~。
https://x.com/takaNakayama/status/1456638762625028100

 私見になるが、「CV若本規夫」時代のベガは、あまりにも「若本キャラ」としてのキャラが強すぎ、ボスキャラとしての大物感はあっても、この中山Dが「やっぱり、」と再確認しなければならないほどの「格闘家としての強敵への渇望」はほとんど感じられなくなっていたと思うのだ。

 そもそもサイコパワーは悪意や憎悪を増幅した悪の力だとされるのだが、「若本笑い」が特徴的だったベガからは、むしろ常に愉快そうで自由奔放なイメージが勝っていたと思う。
 「ストII時代のベガ様」を懐かしむ中山Dとしては、いつかそのイメージチェンジを行いたいと目論んでいたという想像はしやすい。
 つまり「俺」が一人称のベガは「ベガとは別人格」などではなく、それこそが「ストII以前の本来のベガの性格」なのだ、という捉え方をしているようにも考えられる。

 「俺のこの飢えを満たせればそれでいい」という勝利ボイスにしても、「世界征服を野望とする前の、力を渇望していた頃のベガらしさ」を明確に表していると感じられるセリフになっているだろう。

 髪は白髪だし、「前作までのベガの肉体年齢」を継承している反面、内面や精神年齢的には「ストII以前のベガ」に回帰しているのが今作のベガなのではないだろうか。
 記憶が連続していない(若返っているとも言える)結果として、「シャドルーの総帥としての残留思念」を他人事であるように認識しているのかもしれない。

ソウルパワーからサイコパワーへの変色

 また、このベガの精神が「シャドルーの総帥になる以前」に近いのだと仮定すると、オーラの色が変色している原因にも説明を付けられるかもしれない。

https://game.capcom.com/cfn/sfv/column/100867
https://www.gamespark.jp/article/2021/04/19/107919.html

 そう、ベガと元は同門とされるローズの「ソウルパワー」も、明るい緑から青~紫のオーラの色で表現されるからだ。

 ベガとローズは後付設定が多いため、どれが公式設定(正史)なのか迷う部分もあるが、ストVの人物相関図に従えば「元同門」の関係となるらしい(ピクシブ百科事典で両者の関係について複数の推測が挙げられているので参考に)。

 そうすると、ベガやJP、エドたちの使うサイコパワーの色が「紫~赤紫」だとしたら、「明るい緑~紫」までの色が「ソウルパワーの一門のオーラの色」であり(ちなみにローズの弟子であるメナトのオーラは青から紫)、「俺」を自称するベガのオーラは「ソウルパワーを学んでいた頃のベガの色に戻っている」と考えることもできそうだ。
 残留思念の吸収後、より強力なオーラを発揮しようとするほど紫色に近付いてしまい、自分の意志で抑え付けると薄緑に戻る……、という演出はまさにその葛藤を表しているように思えるが、どうだろうか。


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